横浜市の就学相談とは?相談できることや申込の流れ【実際の体験談を紹介】
2025年6月13日
こんにちは。
横浜市都筑区で、発達が気になる赤ちゃんから学童期のこどもたちに育児発達支援を行なっている育児・発達支援室ここんの広報担当 古閑真梨子です。
来年度にお子さんの小学校入学を控えた保護者のみなさん。
「わが子が小学校にちゃんと通えるかな……」
またお子さんに発達特性や気になり事がある場合は
「学校のクラスにはどんな違いがあるの」「学校や学級選びについて相談したい」など不安や迷いを抱えていませんか。
横浜市には、こうした不安を抱えるママパパに向けた「就学相談」という制度があります。
就学相談では、どんな子を対象として何を解決できるのか、また実際に就学相談を利用した体験談をご紹介します。
ー Contents -
横浜市の就学相談とは?
「就学相談」とは、子どもが小学校に入学する前に、発達や特性、生活の様子などを踏まえて、どのような学びの場がその子に合っているかを学校や教育機関と一緒に考える相談のことです。
子どもが就学するにあたり
「運動や言葉の発達がゆっくりだけど、小学校でやっていける?」
「通常の学級で大丈夫かな?」
「就学にあたってどんな選択肢があるのか知りたい」
など、不安や心配を抱えることもあるかと思います。
就学相談では、子どもの発達や特性に応じて、どんな学校や学級を選ぶのがその子にとってふさわしいか、また学校でどんな配慮が必要かを、就学先の小学校や横浜市特別支援教育総合センター(以下特総センター)と共有し、子どもが安心して学べる環境を整えるためのサポートすることを目的としています。
どんな子を対象としているの?
小学校入学に不安を感じていても、「就学相談は“特別な子”が受けるもの」と思っているママパパも少なくないかもしれません。
横浜市の就学相談では、診断名の有無にかかわらず、お子さんの就学に不安や気がかりがあれば、どなたでも相談することができます。
「そもそもどんな学びの場があるのか」
「うちの子にはどんな環境が合っているのか」
といったことについても、一緒に考えていくことができます。
<こんな悩みを相談できるよ>
■ 発達や行動で気になる事がある
- 言葉の発達がゆっくりで、まだ会話のやりとりが難しい
- 自分の気持ちを言葉で伝えるのが苦手
- パニックを起こしやすい、こだわりが強い
- じっとしていられず、落ち着きがない
- 感覚過敏がある(大きな音が苦手など)
- 偏食がある
- 体や手先の不器用さがある
- 体の動かし方がぎこちない
■ 集団生活に不安がある
- 園でお友だちとうまく遊べない(手が出てしまう・周りと合わせることが苦手)
- 先生の指示が通りにくく、一斉活動が苦手
- 家ではおしゃべりをしているのに、園ではおしゃべりをしない(場面緘黙)
■ すでに診断を受けている、療育に通っている
- 医師から具体的な診断名を受けている
- 療育に通っているが、就学先について園と意見が分かれている
- 通常級と支援級か迷っている
横浜市の就学相談の流れ
出典:横浜市HP
■相談先はどこ?
就学相談はおもに2種類あります。
- 学区内の小学校に相談
- 特別支援教育総合センター(教育委員会)での相談
まずは、学区内の小学校の校長・または副校長と面談を行います。
■相談の申し込み方法
出典:横浜市HP 令和7年度就学に向けての相談について~詳細版~
1:学区の小学校に電話し面談予約
就学相談したい旨を伝え、面談の予約をとります。一般学級や個別支援学級の見学ができるかどうかを必要に応じて確認しておきます。
2:校長または副校長と面談
子どもの様子や抱えている困りごと、就学にあたっての心配事などを、小学校の校長・または副校長に相談します。また、学校からは就学にあたってどのような選択肢があるのか(学校や学級の種類など)説明を受けます。
【横浜市の小学校における学びの場】
一般学級 | 一般的な学習指導を行う標準的なクラスで、 特別な支援の必要がない児童が在籍しています。一般学級でもお子さん一人ひとりの理解のペースや特性に合わせて、授業の進め方や教材を工夫し、わかりやすく学べる環境づくりが行われています。 |
個別支援学級 | 小・中学校内の校内にあり、子どもの特性にあわせた支援や指導を少人数で受けるための学級。一部、一般学級と交流もあります。 |
一般学級+ 通級指導教室 | 通常の学級に在籍しながら、週に数回在籍校から離れて支援指導を受ける特別な学びの場。 |
特別支援学校・ 支援学校 | 身体、知的に障害のある子が通う学校で、個別の指導や生活支援が充実しています。 |
3:横浜市特別支援教育総合センターへ相談の申し込み
特別総合支援センター(特総センター)へ就学・教育相談申込書を送付、または電子申請で申し込みをします。
▼就学・教育相談申込書
4:特総センターで相談
申し込み後、「相談日時決定通知」が郵送で届きます。申し込みから、最大で半年かかることもあるので、早めに申し込んでおくと安心です。
5:特総センターから学校に結果を報告
特総センターでの面談内容・行動観察・発達検査などの結果を、学区の校長等と共有します。今後の具体的な支援や指導について、再度面談することもあります。
相談から就学先決定までのスケジュール
【就学相談から就学までにやること】
4~5月 | 学校への就学相談申し込み | 保護者から就学先の小学校へ電話で依頼します。 |
5月頃~7月末 | 特総センターへの就学相談申し込み | 特別支援学校を希望する場合は6月末、個別支援学級・通級を希望する場合は7月末までに相談申し込みをします。 |
夏頃~就学前 | 特総センターでの就学相談実施 | 申し込みの時期に応じて実施時期は変わります。申し込みから最大半年かかることもあります。 |
夏頃~就学前 | 学校見学 | 特別支援学校や個別支援学級などを候補にした場合は、事前予約が必要な場合もあるので要確認。 |
夏頃~就学前 | 就学先の検討 | 特総センターからは、面談や行動観察、検査の結果から判断した、子どもの特性や課題にあった学びの場が伝えられます。最終的な就学先は、保護者が判断します。 |
翌4月 | 入学 | 担任や児童専任の先生と連携し、子どもの様子を見守りサポートします。 |
就学相談って実際どんな感じ?息子の就学相談をしたときの体験談
ここんの広報チームである古閑も、およそ2年前に横浜市の特別総合教育センター(特総センター)に就学相談をしてきました。
<息子について>
ここんの個別セッションの様子。息子は作業療法士のまこさんが大好き!
(今年小学2年生になった7歳男児。4歳のとき療育センターに発達相談)
保育園で目立った困りごとはなかったものの、家では多動や衝動的な行動が多くありました。また自分の好きなものに対しては強いこだわりがあり、思い通りにいかないと激しく癇癪を起こすことも度々ありました。
・電車で先頭車両に乗れないと癇癪を起こす
・癇癪を起こすと止まらず、わざと鼻水を出して床にぬりつける
・道路を歩いていると走っていってしまう(弟は手をつないで歩いてくれるのに)
・一斉指示が苦手。保育園の制作では、次に何をやるかわからず泣いてしまうことも
・初めての運動教室では、走り回ってひとりだけみんなと同じ行動ができない
など…
運動教室で、息子の姿に慌てる私の様子を見て、先生からは「もし本当に困っているなら、行政のサービス(療育)を利用するという選択肢もありますよ」とアドバイスをもらい、一度療育センターに相談してみようと決意。面談を受けた際(当時4歳)には、診断名はつかず「ASD(自閉スペクトラム症)」の傾向があり、いわゆるグレーゾーンであると伝えられました。
▼ここんとの出会い
息子には診断名がつきませんでしたが、困りごとがあるのは事実。定期的に息子の相談をしたくても、療育センターで児童精神科医の先生と面談できるのは、半年~1年に1回。療育センターのソーシャルワーカーさんが保育園巡回に来るのは1年に1回。その間、何もしないでただ待つのは、もったいないと感じました。
療育センターで診察を受ける前から、インターネットやSNSを通してここんの存在は知っていましたが、「こんな悩み、相談していいのかな」と行動には移せずにいました。
しかし、実際に利用されたお子さんの事例を見て、息子の悩みも相談していいんだと思い、すぐに個別セッションを予約しました。
ここんに通ってから、こどもの特徴や現状、自宅でできる環境づくりや親ができるサポート、子どもを理解する視点についてアドバイスをもらうようになりました。(わが子の場合はとにかく体を動かす機会をたくさん作りました。)
また、親である私の考え方も大きく変化。
通う前は、正直「どうしてそんなことするの!」と感情まかせに怒ってばかりいましたが(今でもありますが…)、ここんに行くようになってからは「なぜ今この行動をしたのかな」と背景を想像することが増えたこと、「天真爛漫な息子のよさをもっと大事にしていこう」という気持ちが強くなりました。
アドバイスしてもらったことを実践し、親の見方・関わり方が変わったこともあってか、気づけば子どもの行動で困ることも少なくなっていました。
▼横浜市の就学相談を利用したきっかけ
我が家が、就学相談をしたきっかけは、小学校で行われた就学前健診(10~11月頃実施)でした。
就学前健診では、受け付け後に親と子どもは分かれて座り、親は入学にあたっての説明、子どもは小集団になり健診を受けにいきます。
健診で問題がなければ、子どもが戻り次第帰宅となります。
しかし、わが子の場合は行動面に問題があったようで、そのまま副校長先生と面談をするよう先生から指示を受けました。(急な面談にとても動揺しました。保育園のお友達は何もなく帰っていて、悲しくもなりました…)
▼就学前健診後、副校長先生との面談で聞かれたこと
校長室では、息子も同席し副校長先生と面談。具体的に健診でどんなところが気になったのかは先生からは伝えられず「ちょっと緊張して落ち着かなかったかな」と言われました。私も動揺していて、健診時の息子の様子を詳しく聞くことができませんでした。反省点です。。
息子は、初めての場所に慣れないからか「座っていてね」と言っても校長室内を動き回り、椅子に座ってもくるくる回り、机の上のものを触るなど終始落ち着かず、不安な気持ちを動くことで解消しているように見えました。
副校長先生からは、家庭での困りごとを聞かれ、当時困りごとはあまりなかったものの、過去に東部療育センターに行ったことやここんに通っていたことを伝えました。そこで初めて、小学校には一般級・支援級・通級などクラスが分かれていることを知り、「心配なら特総センターに相談してもいいかもしれないですね」とアドバイスをもらいました。
夫と相談し、実際の子どもの様子を見てアドバイスをしてもらった方がいいのでは?となり、詳細を聞いてみようと特総センターに就学相談の予約をしました。また、息子は以前、発達検査を受けてはいましたが、2年近く前だったこともあり、再度検査を受けその結果を踏まえた上で、就学先を検討した方がいいと思ったのも就学相談を決めた理由のひとつでした。
▼特総センターを訪問(2~3時間)
出典:横浜市HP
実際に特総センターに行ったときの状況について様子です。
1:担当者からヒアリング(子ども同席)
受け付け後、相談にきた経緯や子どもの様子について、私から担当者に説明をしました。その後、担当者は子どもにいくつか簡単な質問をし、受け答えの様子を見ていました。
・名前
・保育園の名前やクラス
・どうやってここまで来たのか
など
2:集団での学校ごっご・発達検査(親子別室)
子どもは別室に行き、集団活動の「学校ごっこ」を行い、その後発達検査を受けます。
その間、私たちは担当者から今どのような検査を行っているのか説明を受けました。また、小学校のクラスの違いや、こちらからの質問にも答えてもらいました。
3:発達検査の結果を受ける(親子別室)
担当者から、集団活動の様子と検査の結果について説明を受けました。
わが家の場合は
・集団活動では、イスから立つことなく、手を挙げて返事もできていた
・発達検査テストの結果、IQは支援級と通常級の間で、支援級をすすめること
・もし、通常級を選ぶのであれば、一番前の席にしてもらうことが必要
・結果は、特総センターから小学校に共有します
といった内容を伝えられました。
そこからは、検査の詳細を伝えられたのですが、息子のできていないところを責められている気がして、悲しくなってしまい…。夫婦でどうするのがいいか話し合い、両親にも悩みを聞いてもらいました。
▼小学校の支援級を見学
後日、小学校から連絡があり、実際に支援級を見学させてもらうことにしました。一般級との違いや、授業の受け方、必要な親のサポート、一般級と共通することなど、具体的に案内してもらうことで、イメージが膨らみクラスを選ぶときにとても参考になりました。
また、支援級からスタートし、2年生から一般級にうつる子もいるようで(逆に支援級に移る子も)、子どもの状態に合わせてクラスを変更できることがわかり、安心にもつながりました。
▼クラス決定し小学校に連絡
特総センターでは支援級を勧められましたが、実際どの学級に通うのかは家庭に委ねられます。我が家の場合は、小学校を見学させてもらったのが3月でかなりギリギリだったため、、通常級にするか支援級にするかすぐに決断する必要がありました。
結論、わが子は「一般級」を選択しました。子ども自身、クラスでたくさんの友達ができることを楽しみにしていましたし(保育園ではクラスあたりの人数が少なかったのです)、もし躓いてしまったら、家庭でサポートしたり、ここんの個別セッションでサポートしてもらいながらやっていこう、というのが夫婦の見解でした。
▼特総センター相談後に感じたこと
息子がグレーゾーンの特性があるとはわかっていたものの、就学前健診や特総センターで検査の結果を聞いたときは、正直ショックを受けました。(就学相談の帰り道は気持ちよいくらいの晴天で、息子も無邪気に楽しかったよと言っていて…、私たち親の心とあまりにも差があったのを今でも覚えています)
ですが、就学相談をしたことで、【息子がどういったところでつまづきやすいか】【どんなサポートがあると過ごしやすいのか】を知ることができ、結果的にはこのタイミングで知ることができて、とてもよかったと思っています。
その後、小学校の担任との個人面談でも子どもの特性をお伝えし、学校でもサポートしてくれる人がいる状態をつくることが、安心にもつながりました。
それと同時に、保育園や幼稚園から小学校への就学は環境変化が大きく、「悩んでいるのは、我が家だけではないのでは?」とも感じました。
なぜなら、我が家でも親(息子の祖父母)からは「一般級で大丈夫でしょう」と言われるものの、小学校の先生や特総センターなど専門家からは「サポートがあった方がいい」と正反対のアドバイス。いったい何を軸に就学先を決めたらいいのか、わからなくなりました。また、検査結果に対して「息子が雰囲気に慣れなかったことが原因なのでは?状況が変われば結果は変わるんじゃないのかな」という思いもありました。
小学校に入ってからの様子は想像するしかない状況で、どう就学先を決めたらいいか、専門知識を持った人に相談したいと強く感じました。
幸いなことに、我が家は「何かあればここんに頼れる!」と相談できる場所があったことが、親子の支えになっていたと思います。
ここんで就学相談もできます
就学相談の必要性はわかったものの、「特総センターに予約するのはハードルが高いな」、また「特総センターでは支援級or一般級どちらでもいいと言われたけど、どう決めたらいいかわからない」そんなお悩みを抱えているママパパもいるかもしれません。
ここんでは、個別セッション内で就学相談もでき、子どもの発達の専門家がお子さんやご家族の状況に寄り添い、就学までのサポートを行っています。
ここんの就学相談ではどんな相談ができるの?
ここんの就学相談(個別セッションでは、)就学に向けて、お子様にどんな力が身についていて、どんな場面でサポートが必要なのかを、セッションの中で診ていきます。
読み書きの学習面や、日常生活動作の自立、体や手先の器用さの獲得に向けたプログラムをご提案しています。
また、就学までの間におうちでできる取り組みや環境設定のアドバイスも行っています。
就学時に向けての取り組みをレポートにし、入学後に担任の先生にお渡し頂ける情報提供書も作成していますので、切れ目のない支援が可能となっています。
入学後には、保育所等訪問支援事業(公費は2025年10月開所予定。自費はすぐにご利用可能)を利用し、学校訪問を行って先生とご家庭とチームになり、お子様の成長をサポートしています。
- 情報提供書1通 3,000円
- 個別セッション60分 8,000円
- 園・学校訪問(自費)120分 12,000円
▼横浜市特別支援教育総合センターでの就学相談との違いは?
小学校入学に向けた「就学相談」は、毎年夏~秋にかけて希望者が集中するため、特別支援教育総合センター(特総センター)では、申し込みから実際の相談までにおよそ3〜4か月、長いと6か月ほどかかることもあります。また、保護者の都合と合わず、調整が難しいケースもあります。
その点、育児発達支援室ここんでは
- Webから空き状況を確認できる
- 相談したいタイミングに合わせて申し込み可能
- オンラインでの相談もOK
- お子さんの様子をじっくり観察しながら相談できる
と、柔軟でスムーズな対応が特徴です。また、保護者の方だけでのご相談もできるので、まずは話を聞いてみたいという方も、気軽にお申込みいただけます。<
個別セッション・学校訪問を利用された方のご感想
ご感想をお寄せいただきありがとうございました。
「このまま小学校に入って大丈夫かな…」そんな不安を感じたときは、ぜひここんの就学相談(個別セッション)をご利用ください。お子さんと保護者の気持ちに寄り添いながら、一緒に“その子らしい学びの場”を考えていきます。まずはお気軽にご予約ください。
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